「海外FXと国内FXで税金は違うの?」
「海外FXの税率はどれくらい?どうやって節税をしたらいい?」
など、海外FXの税金について疑問を持っている人は多いです。
税金について把握していれば、税負担を軽くすることができ、確定申告もスムーズに終えることができます。
ここでは、海外FXと国内FXの税金の違いや節税ポイント、納税方法などについて紹介してますので、参考にしてください。
海外FXと国内FXの税金の違い
まずは、国内FXと海外FXの税金の違いについて紹介します。
海外FXと国内FXがどちらも同じ税金・税制と認識していたら、想定以上に税金がかかり資金難に陥る可能性があります。
それぞれ税金面でどのような違いがあるのか、しっかりと把握をしておきましょう。
国内FXは申告分離課税
国内FXの税金は、申告分離課税となります。申告分離課税とは、他の所得とは分けて税額を計算し、納税する課税方式のことです。
たとえば、給与所得が300万円、国内FX所得が50万円だとしたら、50万円のみに課税されます。
申告分離課税の税率は、所得額に限らず一律20%です。
※他に復興特別所得税と住民税がかかります。
そのため、国内FXの所得が50万円であれば、10万円の税金がかかることになります。
海外FXは総合課税
国内FXの税金は、FX所得を分けて課税する申告分離課税ですが、海外FXは総合課税になります。
総合課税とは、海外FXの所得と他の所得を合算して、税額を計算し、納税する課税方式のことです。
たとえば、給与所得が300万円、海外FX所得が50万円だとしたら、350万円に対して定められた税率で課税されます。
また、総合課税は所得額が大きくなるほど税率も高くなる累進課税なので、稼げば稼ぐほど納税額は増えます。
以下は、累進課税制度の所得金額に応じた税率です。
- 所得金額195万円以下:税率5%、控除額0円
- 所得金額195万円超330万円以下:税率10%、控除額9万7,500円
- 所得金額330万円超695万円以下:税率20%、控除額42万7,500円
- 所得金額695万円超900万円以下:税率23%、控除額63万6,000円
- 所得金額900万円超1,800万円以下:税率33%、控除額153万6,000円
- 所得金額1,800万円超4,000万円以下:税率40%、控除額279万6,000円
- 所得金額4,000万円超:税率45%、控除額479万6,000円
国内FXが申告分離課税なのに対し、海外FXは総合課税であることを理解しておきましょう。
■課税されるタイミングは同じ
国内FXと海外FXで税金・税制は異なりますが、課税対象となるタイミングはどちらも同じです。
課税対象となるのは「ポジションを決済して利益・損失を確定した時」になります。
そのため、どれだけ含み益・含み損があっても、決済せずにポジションを保有し続けている限り、課税対象とはなりません。
・ポジションを決済(確定) →課税対象
・ポジションを保有(未確定)→課税対象ではない
ということを覚えておきましょう。
海外FXの税金のメリット
ここでは、海外FXの税金のメリットについて紹介します。
どのようなメリットがあるのかを知ることで、国内FXとの違いをより深く理解することができます。
以下は、海外FXの税金のメリット3点です。
1.年間利益が少なければ国内FXより税金が安い
2.海外FXのボーナスは課税対象外
3.経費の計上もできる
それぞれの内容について見ていきましょう。
所得が少なければ国内FXより税金が安い
海外FXの税金のメリットとなるのが、所得が少なければ国内FXより税金が安いことです。
国内FXは申告分離課税により一律20%、海外FXは総合課税で所得額に応じて税率が変動します。
海外FXの場合、利益が195万円以下であれば税率は5%、330万円以下だと10%、695万円以下で20%です。
つまり、他の所得と合わせて330万円超695万円以下の水準で、国内FXと同じ税率になります。
695万円超となると税率は23%になってしまいますが、そこまで所得がない場合は、国内FXよりも低い税率もしくは同水準です。
他の所得や海外FXの所得金額が少ない場合は、税金が安いことが海外FXのメリットになります。
海外FXのボーナスは課税対象外
海外FXのボーナスは課税対象外になることもメリットです。
魅力的なボーナス制度は海外FXの特徴でもあります。
国内FXでも「新規口座開設で1万円」「口座開設をして●Lot以上の取引で5,000円」などのボーナス制度を設けている業者はあります。
しかし、海外FXの場合は「入金額100%相当のボーナス」で、100万円入金をすれば100万円分のボーナスが付与されるなど、ボーナスの規模が国内FXの比ではありません。
海外FXのボーナスは課税対象にはなりません。あくまでも取引で得た利益や損失が課税対象となります。
そのため、ボーナス制度を上手く活用すれば節税にもつながります。
経費の計上もできる
海外FXは、経費の計上ができるのもメリットです。
以下のような経費を計上することができ、税負担の軽減ができます。
- 取引するためのパソコン購入資金
- 取引に関する書籍代
- 取引に必要となるプロバイダー料金
- 取引に必要な電話料金やインターネット代
- 取引に使う自動売買プログラム代
- 取引するためのサーバー代
- 勉強するためのセミナー参加費や交通費
- 海外送金の手数料 など
たとえば、海外FXで100万円の収益を出していて、経費が30万円ある場合は、「100万円−30万円」となり、70万円が課税所得となります。
しっかりと必要経費が認められているのも、海外FXのメリットです。
海外FXの税金のデメリット
次に、海外FXの税金のデメリットについて紹介します。
メリットだけでなくデメリットも知っておくことで、リスク回避がしやすくなり、税負担を軽減させることが可能です。
以下は、海外FXの税金のデメリット3点です。
1.稼げば稼ぐほど税金が高くなる
2.国内の税務署がチェックするためズルはできない
3.損失の繰り越しができない
それぞれのデメリットについて、見ていきましょう。
稼げば稼ぐほど税金が高くなる
海外FXの税金のデメリットの1つが、稼げば稼ぐほど税金が高くなることです。
国内FXの場合は、どれだけ稼いだとしても税率は20%で済みます。
しかし、海外FXは、合算した所得金額が増えるほど税負担が大きくなる仕組みです。
たとえば、合算した所得金額が900万円を超える場合は33%の税率になりますし、FXで大稼ぎできて1,800万円を超える場合は40%の税率になります。
稼ぎが少ない場合は国内FXよりも税率は低いですが、稼ぎが多い場合は国内FXよりも税率は高いです。
海外FXは、稼げば稼ぐほど税金が高くなるデメリットがあることを理解しておきましょう。
国内の税務署がチェックするためズルはできない
海外FXといっても、適用されるのは国内の税制ルールです。海外の税制ルールが適用されるわけではありません。
「海外の税務署が調べるだろうからチェックが甘そう」
「海外FXであれば細かい部分まで見られないだろう」
など安易に考えて、脱税などのルール違反をしたら必ずバレます。
なぜなら、チェックするのは国内の税務署だからです。
海外FX業者を利用する場合も、国内の税制ルールが適用され、国内の税務署がしっかりとチェックを行います。
正式にはデメリットと言える点ではありませんが、国内のルールを厳守して取引や納税をすることが大切です。
損失の繰り越しができない
損失の繰り越しができないことも、海外FXのデメリットです。
国内FXであれば3年間損失を繰り越すことができるため、損失が出ても無駄なく節税することができます。
しかし、海外FXの場合は損失の繰越控除ができないため、1年間でどれだけ損失が出たとしても、翌年以降の節税に生かすことはできません。
国内FXのように3年間損失を繰り越すことができないことは、海外FXの大きなデメリットです。
海外FXで節税するためのポイント
ここでは、海外FXで節税するためのポイントについて紹介します。
節税ポイントを知っておけば、税負担を軽くでき、より多くのお金を手元に残すことが可能です。
以下は、節税をするための3つのポイントです。
1.経費をしっかりと計上する
2.損益通算をする
3.さまざまな控除・制度を活用する
1つずつ、確認していきましょう。
経費をしっかりと計上する
海外FXで節税するためのポイントの1つが、経費をしっかりと計上することです。
「金額が少ないからいいや」など、経費計上できる領収書を捨てていませんか?
少額であっても、認められている経費を確実に計上していくことが、大きな節税へとつながります。
たとえ、100円〜200円の小さな金額でも、経費計上できるものはしっかりとやっていきましょう。
損益通算をする
損益通算することも、海外FXで節税をするためのポイントです。
海外FXの所得は雑所得扱いとなり、同じ雑所得同士であれば損益通算ができます。
損益通算とは、損失で他の所得の利益を相殺できることです。
たとえば、海外FXで20万円の損失が出て、株取引で50万円の利益が出ている場合は、「50万円−20万円」で30万円が課税所得となります。
株式投資やバイナリーオプション、仮想通貨、アフィリエイトなどの所得が同じ雑所得に分類されています。
さまざまな控除・制度を活用する
さまざまな控除・制度を活用して、海外FXも含めた節税対策をすることも大切になります。
たとえば、ふるさと納税やiDeCo、社会保険料控除や医療費控除などです。
また、個人事業主や自営業者であれば、小規模企業共済や65万円の青色申告特別控除もあります。
さまざまな控除・制度を活用して、海外FXの所得も含めた節税を図ることが大事です。
海外FXの納税方法
最後に、海外FXの納税方法について紹介します。
確定申告が必要な条件や手順について、確認していきましょう。
年間で海外FXの収入が20万円を超えると確定申告
FX取引で一定金額以上の所得が出ている場合は、確定申告が必要です。
給与所得者か非給与所得者かによって、確定申告が必要な所得ラインが異なります。
・給与所得者(会社員など):年間20万円以上
・非給与所得者(専業主婦など):年間38万円以上
厳密には、給与所得や退職所得以外の所得が20万円または38万円超える場合に、確定申告が必要になります。
条件に該当する場合は、確定申告を忘れないようにしましょう。
海外FX確定申告の手順
確定申告は、次の4つの手順で進めていきます。
しっかりと手順を把握することで、スムーズに確定申告や納税を終えることが可能です。
それぞれの手順について、確認していきましょう。
確定申告に必要な書類を揃える
まずは、確定申告に必要な書類を揃えます。必要書類は状況によって異なりますが、会社員の場合は主に以下の書類が必要です。
- 確定申告書
- 源泉徴収票
- FX損益報告書
- 社会保険料の控除証明書
- 医療費の明細書や領収書
など
揃えるのに時間がかかることもあるため、早めに手配をしてください。
確定申告書を作成する
確定申告に必要な書類を揃えたら、確定申告書を作成します。
海外FXの所得金額は「雑所得」の「その他」欄に記入をします。
控除額など、抜け漏れがないように何度も確認をしてください。
確定申告書と必要書類を税務署に提出する
確定申告書の作成が終わった後は、必要書類と一緒に管轄の税務署へ提出をします。
納税する
確定申告で決まった納税額を支払います。
3月15日までに、以下4通りの方法のいずれかで納税をします。
- 現金納付
- 振替納税
- クレジットカード納付
- e-tax納税
慌てないでいいように、早めに動くことが大切です。
まとめ
ここでは、海外FXと国内FXの税金の違いや節税ポイント、納税方法などについて紹介いたしました。
国内FXは一律20%の税率に対し、海外FXは所得金額に応じて税率が変わるなど、国内FXと海外FXでは違いがあります。
税金のことも理解したうえで取引をすれば、適切な節税によって税金を最小限に抑えることが可能です。
早速、節税や確定申告の準備を始めていきましょう。